倉庫90:意地の九四再取材ツアー

  山手線の最終で東京駅へ出て、八重洲北口から夜行バスに乗るところから旅が始まります。といっても、バスの乗車時間は1時間少々。成田空港行きの東京シャトルです。このバス、素晴らしいですね。事前に予約すると、1000円(その後900円に値下げ)で乗ることができます。京成の鈍行で行くよりも安いので、たいへん重宝します。しかも、電車が動いていない時間帯にも運行していて、ほぼ24時間運行。成田へ行く際には、今後もたびたび利用することになるでしょう。
  成田空港には、午前4時前に到着。朝イチのLCC便に乗る旅人たちが、空港ロビーで仮眠をとっています。そうかー、こういう手もあるんだな。前夜のうちに成田入りして、ひと眠り。むしろ、中途半端に午前4時くらいに成田に着くと、ロビーのベンチがほぼ空いていません。このあたりは、今後一考の余地がありそうです。もっと早く成田に着いてベンチを確保するか、もっと成田入りを遅らせてベンチがなくても困らない(ベンチで休むまでもなくフライト)ように調整するか。性格的に、前者になるでしょうね。
  今回は、こちらの便で福岡へ飛びます。ジェットスター、最近よくお世話になっています。LCCの選択肢も近年だいぶ増えてきていますが、やっぱり「乗ったことがある航空会社」を選んでしまいますね。「安いから落ちる」とか、ましてや「乗ったことない航空会社だから落ちる」なんてことはまったくないのですが、どうも潜在意識でLCCを信用しきっていないみたいで。というか、空の便は基本的に信用していないですね。
  ともあれ、無事に福岡空港に着きました。まずは、空港内のうどん店「はち屋」で一杯いただきます。いかにも観光客目当てっぽいメニュー・明太そばを。サンプルでは辛子明太子がひと腹まるごと乗っていたのですが、実際には半分でした。丸天のイカダの上に乗って出てきます。これ、正解。丸天なしだと、明太子がすぐに茹だってしまうので。
  まぁ、いずれにしても、明太子とそばの相性は、決して良くはないですね。別に不味くはないのですが、わざわざ乗せることもないかなと。明太子はホカホカご飯に乗せるのが一番でしょう。
  地下鉄で2駅、博多へ。ここで、間髪入れずに2杯目を。博多駅地下街の「大福うどん」で、ごぼう天そばです。丸天と並んで、九州に行ったら一度は食べないと気が済まないメニューですね。この店のごぼう天は、単独揚げ。思いっきりゴボウの土臭さを堪能できる、私の好きなタイプです。細切りのかき揚げやスライスよりも、こちらの方が好き。少なくとも、九州で食べるごぼう天そばとしては。
  腹ごなしに、少々散歩を。博多駅からずっと南へ歩いて、白水大池公園にやってきました。福岡で公園というと大濠公園が有名ですが、練り歩いてみると、大濠公園にも引けを取らないような規模の大きな公園が結構ありますね。
  池では、鴨の群れが悠然と泳いでいました。
  さぁ、食べ歩きに戻りましょう。九州での駅そば紀行には欠かせない、鳥栖駅「中央軒」で、丸天そば。九州のどこへ行くにしても、この店にはついつい立ち寄ってしまいます。すべてのメニューにかしわ(鶏肉)がトッピングされるため、つゆに煮汁の甘辛さが広がって、とても美味しいのです。かしわが自動的に乗る駅そばとしては、「中央軒」のほかに、黒崎駅などに店舗がある「東筑軒」も有名ですが、味わいがだいぶ異なりますので、連食するとなお楽しいです。
  熊本駅「まるうまうどん」では、ご当地麺の太平燕を食べてみました。春雨を使った、ちゃんぽんです。長崎ちゃんぽんというと、クリーミーで濃厚なイメージがありますが、太平燕は春雨(緑豆春雨を使う店が多いそうです)なのでとてもヘルシー。この店について言えば、スープも比較的あっさりしているので、サクッと食べられます。
  熊本駅から、少々歩きます。こちら、熊本刑務所。こんなに壁が低くて、大丈夫なんでしょうかね。その気になれば楽々と脱獄できてしまいそうに見えるのですが。
  JR竜田口駅。なんだか、昭和50年代にタイムスリップしたかのような感覚に。今どき、駅前にこんなに自転車が散乱している駅は珍しいですね。
  三里木駅近くのショッピングセンター「サンリー菊陽」内にある軽食堂「満天食堂」で、えび天そばを。見た目にはどうということもなさそうな一杯ですが、個人的にはエビ天をつゆにべっとりと浸さずに、丼の縁に立てかけて出してきたことに感銘を受けました。冷凍ものなのでしょうが、えび天は揚げたてなんです。つゆに浸してしまうと、サクサク感が失われてしまうんです。ナイスな気遣いだと思います。
  JR豊肥本線、ちょっと恐ろしいところを走っていますね。歩道とほぼ水平レベルで、柵も何もありません。これだと、子供たちが線路に入り込んでしまうのではないかと心配になります。写真を撮るには良いかもしれませんが。車両の全体が撮れる場所って、なかなかないですからね。
  肥後大津駅まで歩いてから、高速バスで大分へ。結構な出費になってしまいますが、こうしないと日程的にプラス1日になってしまうので、やむを得ず。鉄道も大して変わりないかもしれませんが、乗客は少ないですね。4〜5人しか乗っていませんでした。鉄道とバスが並行しているというのは、ちょっと無理があるような気がしてしまいます。共倒れになるのではないか、と心配。
  こちら、JR大分駅。現在、大規模な駅前整備工事中。次に来るときには、ロータリーと駅ビルができているのでしょうか。さぁさぁ、果たして駅そばの復活はあるのか?
  大分駅では、ミニトレイン「ぶんぶん号」が構内を走っています。レールはないので、「鉄道内鉄道」ではありません。1乗車200円で、約8分間かけて大分駅構内をトコトコと走ります(2周するらしい)。面白いとは思いますが、こういうものが走れるくらいに、駅構内の通行人が少ないということでもあるんでしょうね。
  陸・海・空と制覇します。別府港から、宇和島運輸フェリーで四国に渡ります。もちろん、到着後に少々船内休憩(仮眠)ができる夜行便に乗ります。
  別府港ターミナル内に立ち食いそば・うどん店がありますが、この時間には営業していませんでした。フェリーターミナルに立ち食いそば・うどん店があるというパターンも、お馴染みですね。フェリーはトラックが多く利用するので、ターミナル内が閑散としているように見えても、安定した需要があるのでしょう。
  私は、駅から港までの間にあったマックスバリュで鶏刺しと第3ビールを買って、船内で楽しみました。揺れるので、酔いが早いですね。1本で充分。サッと飲んで食べて、おやすみなさい。
  八幡浜で四国に上陸。JR予讃線で移動し、上宇和駅あたりで空が明るくなり始めたので、降りて早朝散歩を。今日は霧が濃いですね。吐く息と同じくらい、一面が白いです。
  陽が出てくると、霧が徐々に晴れ、宇和川の全貌が明らかになってきました。う〜む、幻想的ですねぇ。潜在意識で四国にこういう景色を求めてしまうのは、たぶん私だけではないと思うんですよねぇ。
  川面では、カワウ(一部シラサギ)たちが羽を休めていました。羽を広げるとコウモリのようにゴツゴツしているのが分かるのですが、シャッターチャンスを逃しました。
  オープンしたばかりの道の駅「どんぶり館」で、じゃこ天を買って食べます。これも、四国に来たら外せない味覚です。
  四国には、街道沿いにこのような休憩所がたくさんあります。本来は歩き遍路さんのための休憩所ですが、まぁ私のような粗忽者が利用しても構わないでしょう。ちゃんと水道まであるのがありがたいですね。ここで、じゃこ天をガブリ。
  そろそろ良い頃あいだということで、鉄道で八幡浜に戻ります。駅舎にある軽食堂「駅なか浜っ子産直市」で、待望の八幡浜ちゃんぽんをいただきました。これを食べたいがために、この店が開くまで早朝散歩をして時間を潰していたわけです。
  九州と違って、四国のちゃんぽんは醤油ベースのスープで作るのが一般的。うどんダシとはまた少し違うのですが、まぁ和風テイストです。具材は、豚肉と各種野菜など。海鮮系は入っていません。聞いたところでは海鮮系(じゃこ天を含む)を使う店もあるそうですが、各店のさじ加減というところでしょう。野太い麺が食べ応え満点で、なかなか満足度の高い一杯でした。
  続いて、松山駅のお馴染み駅そば「かけはし」で、たらいうどんをいただきます。ちょっとこぼれ話をすると、当初はこの写真を『全国駅そば名店100選』の巻頭カラーに使うつもりでした。しかし、あまりにもうどんうどんしすぎていてタイトルに合わないということで、ボツになってしまいました。ごめんなさい。
  これはこれで美味しいんですけどね、麺が湯に浸かっているので、食べ進めるうちにどんどんつゆが薄くなってしまうのが残念ですね。注ぎ足し用のつゆがあるとなお良いなと感じました。
  四国の瀬戸内海岸を東へ進み、香川県へ。昨日は忙しくて入浴時間を確保できなかった(というか、宇和島運輸フェリー船内でシャワーを浴びるつもりだったが設備がなかった)ので、今日はJR観音寺駅から歩いて20分ほどの日帰り温泉「琴弾廻廊」でひとっ風呂。
  写真は、休憩室内にあった薪ストーブ。柔らかい暖かさで、いいですね。
  もうすっかり夜も更けてきましたが、まだまだ動きます。観音寺から高松へ向かう列車は、こんなド派手な車両でした。運転手さんに聞いたところ、これは数年前のキャンペーンで塗装されたもので、アラーキーこと荒木経惟さんによるデザインなのだそうです。私が「きれいですね」と褒めると、運転手さんは「不気味だと言う人が多い」と語ってくれました。まぁ、それが順当でしょうかね(笑)
  車内は、いたって普通です。ガラガラに空いていたのは、決して塗装が不気味だからではないと思います。
  2日続けて、宿は夜行フェリーです。こちらもお馴染み、ジャンボフェリー。高松・神戸間を結ぶ船便で、夜行便の設定があります。もう結構な回数乗っていますので、勝手知ったる便ですね。発着時にそれぞれ船内に「ジャンボフェリーのテーマ曲」が流れるのですが、ほぼほぼ諳んじられるようになりました。
  本州に戻ると、あとはひたすら駅そばを食べながら、北陸を回って帰るだけ。まずは、醒ヶ井駅に隣接した「さめがい水の宿駅」内にあるフードコート形式の軽食堂で、虹鱒そばをいただきます。このメニューは、初めてですね。食べるのだけでなく、目にするのも。鮎そばと似た趣向なのでしょうが、鮎そばはたいてい焼いたものを乗せるのに対し、こちらは甘露煮を乗せます。ニジマスだと、焼いたのでは臭みがなかなか抜けきらないのかしれません。まぁ、美味しいですけどね、ボリューム感のわりに値段が張ってしまうのが難点でしょうか。
  米原・敦賀間で、今季の個人的初雪を観測。今季は多忙のため雪中ダイブツアーを組めそうにないので、今のうちに車窓から楽しんでおきましょう。
  北陸を回った理由はいくつかあるのですが、仕事に関わる部分もあるので、詳細については割愛します。実食した駅そばを機械的にご紹介。
  まずは、小松駅「白山そば」で、天ぷらそば。本当は金沢駅で食べたいんですけどね、目下駅舎工事に伴って休業中なもので。小松で食べても、味は変わりません。ただ、小松にはしろえびかき揚げそばがないので、そこだけ注意。小松店の厨房には揚げ場がないということでしょうかね。
  高岡駅では、名物のちゃんぽん(月見ちゃんぽん)を。食べたことがなかった、南口店でいただきます。南口店はテーブルがたくさんあって、少し時間をかけて休みながら食べられる店舗です。値段が一緒なのでね、時間を潰したい場合にはこちらがオススメです。
  富山駅では、ホームの「源」で天ぷらそばを。結果論になりますが、この後富山駅の改修工事が入り、ホームの店舗は閉店してしまいました。これが、食べ納めということに。待合室の店舗も一度閉店しましたが、新駅舎開業と同時に、駅舎の外側から出入りする造りで復活しています。
  春日山駅近くで、久々にビジネスホテルに泊まりました。久々というか、今回の旅では初めてですね。快適なんですが、快適すぎて朝起きるのが辛いですね。ついつい布団の中でモジモジしてしまい、出発が遅くなりがちです。
  写真は、ホテルの玄関先に停めてあった除雪用のショベルカー。雪国では、ホテルはもちろん、一般的な民家でも除雪用の重機を保有しているものです。スコップで掬ってネコで運ぶような除雪は、時代遅れのようです。
  まだまだ、駅そば三昧いきます。直江津駅「直江津庵」では、地のり・ゲソ天・生卵をトッピングした謙信そばを。海の香りに卵の旨味が加わって、これは文句なしに美味いです。この店、かつては「謙信そば」という店名で、これが看板メニューになっていたのですが、店名が変わっても同じメニュー名で残っているんですね。
  ところで、直江津という地名の由来は、私はこれまで「直江(兼続)が築いた津(港)」だと思っていたのですが、どうやら兼続本人には関係ないというか、むしろ直江という地名が豪族・直江氏の由来になっているようです。直江、つまり直線状の海岸ということでしょうか。
  こちらは、ちょいとマイナーなJR黒井駅から徒歩4分ほどのところにある立ちそば店「越善」の天ぷらそばです。脇野田に姉妹店があるミニチェーン店ですね。駐車場のあるドライブインタイプの店で、店内広々。和風中華(「かけ中か」という表記は使っていない)を扱うあたりが、上越らしい部分です。
  駅から少し離れたところにも、私が巡るべき店があちこちにあります。まだまだ、発見できていない店も多いんでしょうね。探訪に力を入れないと。
  長岡駅「長岡庵」では、ふのりざるそばをいただきます。冬場なのでね、ざるそばを食べているのは私だけで、他の客はみな温そばをフーフー言いながら食べていました。でも、歯ごたえがプリッと強く、ツルッとした喉ごしも楽しめてなかなか良かったです。夏場に食べれば、なお美味しく感じたんでしょうね。
  最後の一杯は、新潟駅「こころ」の海草うどん。このラスト2杯を見ればわかるのではないかと思いますが、そうです、今回の旅は『全国駅そば名店100選』の巻頭カラー写真を撮り集めるための旅でした。え? 『全国駅そば名店100選』を読んでいないからわからない? じゃ、読んでください(笑)

戻ります。