倉庫89:意地の大阪再取材ツアー

  第4弾単行本執筆にまつわる取材活動も、いよいよ大詰め。青春エコドリーム号で、大阪入りです。大阪駅の高速バスターミナルは、近年桜橋口からグランフロント側へ移転されました。乗り場が縦一列に連なる形になったので、とても分かりやすくなりましたね。桜橋口時代のカオスな雰囲気も嫌いではなかったですが、より洗練されてアーバンな雰囲気になったと言えるでしょう。
  さて、今回は取材の仕上げ的な位置付けの旅行なので、駅そばの写真がかなり多くなります。まずは、新梅田食堂街の「潮屋」で、月見おぼろそば。揚げ玉はフリーです。ポーチドエッグ状態の卵と、おぼろ昆布のトッピング。これとは別に「月見とろろそば」もあります。おぼろ昆布ととろろ昆布を使い分けている店はなかなか珍しいです。
  続いて、西中島南方「道楽うどん」のかすそば。交差点の角にある昔ながらの半露出店で、ややディープな雰囲気の店です。こういう店は、味覚的にも少しアクがある場合が多いのですが、この店のかすそばもなかなかのアクの強さでした。大阪北部でこれだけ強烈な臭気を放つかすそばが出てきたことに、ちょっと驚きさえします。近鉄沿線(河内地方)のイメージが強いメニューなのでね。
  まだまだ、いきます。新大阪駅新幹線ホーム「グル麺」の、たこ焼きそば。立地がよく、変わりメニューを多く扱っている店なので、個人的に実食回数が多い店ですね。冷凍レンチンのたこ焼きを3つ、トッピングします。ヴィジュアルが良いですね。明石焼きそばの方がもっと可愛らしいヴィジュアルですが。明石焼きよりもたこ焼きの方が崩れにくいので、こちらの方が食べやすいですね。
  さらに、吹田駅「駅うどん」のきざみそば。この店、不思議とメディア等で取り上げられることはほとんどないのですが、なかなかの名店ですよ。注文後に茹でる生麺の歯ごたえといい、出汁と一緒に少々煮込んで一体感を演出した刻み揚げといい、完成度の高さをうかがわせます。
  京阪で京都方面へ繰り出した帰りに、寝屋川駅「麺座」で天ぷらそばをいただきます。楕円形で、パッと見るとコロッケのように見える天ぷら。中央部に小エビがたくさん入っているように見えますが、味覚的な干渉力はあまり強くなく、「ほぼ具なし」のイメージが強いですね。でもね、特に関西風のつゆには、この具なし天ぷらが結構合うんです。天かすをフリーで置いている店が多いのも頷けます。
  今日の仕上げは、個人的には超お馴染みの天王寺駅「天王寺うどん」で、天ぷらそばです。大エビ天ですね。大阪府南部から和歌山県にかけては、このパターンが多いです。エビがかなり大きいように見えますが、甘エビサイズに衣の十二単を着せたものです。
  定宿「サンプラザ」に宿泊して、2日目は十三駅「阪急そば若菜」の十三和風ちゃんぽんそばから。駅名にちなんで、13種類のチャンポン風具材を使ったそばです。つゆはそばつゆなので、ちゃんぽんのようなクリーミーさはありません。この点、具材との相性がどうなのかなと思っていましたが、微妙にとろみをつることで巧く橋渡ししています。栄養バランスもいいですね。駅そば生活ではなかなか野菜を多く摂ることができないので、たまにこういうメニューをチョイスするのもいいかもしれません。
  お次は、これまた個人的にはお馴染みの店、近鉄八尾駅「河内うどん」のカツカレーそば。ただのカレーそばに見えるかもしれませんが、カレーの海にカツが沈んでいます。珍しいですね。普通はカツが目立つように(というか、衣のサクサク感が損なわれないように)カツを上に乗せるんですけどね。ところが、あら不思議。カレーに沈んだカツが、ちゃんとサクサクしているんです。衣に秘密があるのでしょう。この店は、何を食べても「ほぉ」と唸らされます。全メニューを制覇してみたい店の筆頭です。
  奈良県に入りまして、大和西大寺駅「二条庵」では浅利そばを。これは個人的な先入観ですが、アサリというと関東の食べ物というイメージを持っています。関西の駅そばでこのメニューに出会えたことに、ちょっと驚き。関東の甘辛いつゆならともかく、関西の繊細なつゆにアサリを合わせると生臭くなりそうなイメージが湧きましたが、アサリにしっかりと甘辛い味付けがされているので臭みはなく、まずまず美味しくいただけました。
  2日目の予定を無事終了。今日も、サンプラザに宿泊。例によって玉出で夕食を買い出すのですが、念願のコレを買って食べました。その後すぐにブームが去ってしまった観がありますが、登場した時にはすごく画期的な商品に感じたんですよね。関西地区限定販売(その後、全国発売されている)だったので、東京では食べられなかったんです。
  味は、まぁ予想した通りです。とっても高カロリーな食品です。
  3日目。まずは、西九条駅「吉」のスペシャルそばで腹ごしらえ。最近、大阪では新今宮に宿を取ることが多くなったので、西九条で乗り換える機会が多く、この店を訪れる機会も多くなっています。西九条には駅周りを含めて3軒の立ちそばがありますが、個人的に一番好きなのがここ。大衆食堂風な雰囲気がたまりません。薄味ながら深みのあるつゆが好きな店です。
  さて、今日は少々遠出をします。梅田の阪急バスターミナルから、高速バスで舞鶴へ。ほんとは10月に済ませておきたかった取材行なのですが、台風などの影響でうまく回れなかったので、改めまして。
  舞鶴からは、京都丹後鉄道で宮津へ。つい最近までこの路線は「北近畿タンゴ鉄道」という名でしたが、膨大な赤字を抱えるなどの諸事情により、LCC系バス事業などを手掛けるWiller系列の京都丹後鉄道に運営が移管されました。まぁ、施設自体は北近畿タンゴ鉄道が保有し続けているし、実質的には特に変わっていませんけどね。
  こちらが、お目当ての宮津駅「旅人」のガラシャそば。600円ということで、かなり高い印象がありますが、宮津ちくわを注文を受けてから天ぷらに揚げているので、アツアツで美味しいです。本音を言えば、もう少し見栄えのするヴィジュアルを期待していましたが……。ともあれ、これで本懐を遂げました。北近畿地方は、駅そばの撤退が目立つエリアなので、この店には末永く頑張ってほしいと思います。
  帰りも舞鶴から高速バスなのですが、時間がだいぶ開いていたので、天橋立を見学していくことにしました。写真は、知恩寺のおみくじ。扇子型の、洒落たおみくじです。できれば、上向きに枝に結び付けられるような工夫があるとなおいいのかな、と感じますが。私も引いてみましたが、とってもコメントしづらい「中吉」でした。
  こちら、天橋立入口の回旋橋。これを渡ると、左右両方に海が見える松並木になります。
  結構、遊歩道は幅員が広いですね。土日などは多くの観光客が訪れるためこのくらいの幅があるといいですが、今日のように比較的空いている日はちょっと寂しく感じます。
  道中にはちょっとした休憩施設がたくさんあるのですが、必ずしも手入れが行き届いているとは言えない状態。老朽化により使用不可、という施設も結構目立ちました。これは、修復するなり撤去するなりしてほしいですね。日本三景が台無しです。
  また、平成16年の台風23号による被害の爪痕も深く刻まれていました。この倒木は、「双龍の松」という命名松ですが、台風で倒れてしまったのだそうです。こういった倒木が、散策路のあちこちに見られます。
  双龍の松は中が朽ちて空洞状態に。近い将来、土に還ることになるでしょう。
  ところで、天橋立の松並木遊歩道は、もちろん車で通ることはできないのですが、二輪車(125cc以下)は通行することができます。というか、標識があるということは、ここは一応公道という扱いになるのでしょうか。付近には、レンタサイクルの店がたくさんあります。乗り捨て(片道のみ)が可能な店も結構あります。アップダウンもないし、自転車で走ると爽快かもしれませんね。
  来た道を戻るのはだるいので、阿蘇海の西岸を歩いて岩滝口駅へ抜けることに。途中、「ヤノ」というローカルなコンビニで、宮津てんぷらといわしちくわを買い食い。海沿いの街では、こういった近海魚を使った加工品が名物になっていることが多いですね。タラのちくわに比べてややパサパサしていますが、青魚特有の風味の強さが個人的には好みです。さつま揚げとじゃこ天の中間スタンスの食感・風味でした。
  岩滝口駅から乗った京都丹後鉄道の車両は、リゾート仕様の「青松号」でした。これはラッキー。というか、こんな観光客が少ない時間帯(19時ごろ)にこんなリゾート車両を走らせるなんて、京都丹後鉄道も粋なことをしますね。
  西舞鶴駅から高速バスで梅田へ戻り、日帰りでのタンゴ旅行は無事に終了。基本的に、駅そば1杯だけのためにわざわざこの予定を組みました。単行本が絡まなければ、まずありえないことですね。
  最終日も、駅そば三昧といきましょう。まずは、大阪駅に改札内に新たにオープンした「麺亭しおつる」のモーニングセット。写真は、セットのそばのアップ。刻み揚げは日替わりのサービストッピングで、揚げ玉はフリーです。これに卵かけごはんが付いて、350円。安いですね。
  同じく大阪駅ですが、今度は改札外の「おあがりや」で、ちくわ天そば。「バットか?」と突っ込みたくなるほどの、ジャンボちくわ天。食べ応え満点なのですが、正直、食べにくくもあります。うまく扱わないと、テコの原理で丼の外に倒れてしまうのではないか、と心配になります。
  それでも、このちくわ天そばと比べれば、上のちくわ天の方が圧倒的にグレードが上だなと思います。こちらは、立花駅北口「都そば」のちくわ天そば。値段が違うので単純比較はできませんが、ちくわ天自体のクオリティも含めて、大阪「おあがりや」の完勝でしょうかね。お金がないときには「都そば」を選択する手もありますが。
  最後の1杯は、梅田駅1号ホーム「阪急そば」で、とろろごはんセット。今回の旅ではいつになく駅そばの実食数が多くなったので、最後に若干ご飯が恋しくなりました。一方では、阪急そばの水滴型天ぷらも恋しくなったので、このセットに。値段的にそれほどお得感はなかったですが、旅の最後を締めくくるには充分な満足度でした。

戻ります。