倉庫86:九州山陰ブギウギ取材ツアー

  新宿(代々木)のJRバスターミナルから、旅が始まります。狭いのでいつも混んでいるイメージのターミナルですが、今日はやたら空いていました。オフシーズンの平日だと、こんな感じなんですかね。いつもこうだとありがたいのですが。
  まずは大阪を少々探索します。お馴染み・近鉄八尾「河内うどん」で、カレーそばを。いやー、この店は何を食べても美味いですね。カレーは、小鍋でつゆとしっかり混ぜ合わせます。出汁がしっかりしているので、カレーと混ざり合ってもちゃんと香るんですね。それから、肉。これは、「カレーの具」ではなくトッピングになっています。だから、パサパサせず、やわらかくて食べやすいです。薄く味がついているので、味覚が統一されがちなカレーそばにアクセントをもたらしています。
  続いて、JRの八尾駅、いってみましょう。北口歩30秒の「味美亭」。この写真だとメニュー名が想像つかないかもしれませんが、これは「月見そば」です。刻み揚げは、全メニューに乗せるサービストッピングなんですね。カツオ出汁メインのつゆは、爽やかで美味しいです。大阪(関西)には昆布出汁のイメージを持っている人も多いと思いますが、案外カツオ出汁の店も多いものです。
  一応、ちょっとだけ観光もします。河内地方は、古墳のメッカ。街を歩けば古墳に当たるというくらいに、多くの古墳があります。それも、しっかりと堀が整備されたものも多いです。写真は、松原市の大塚山古墳。なかなかの規模で、堀のすぐ外にまで住宅地が迫っているのも異様な雰囲気を助長させています。堀で魚釣りを楽しむ人もいて(許可とか、大丈夫なのだろうか?)、市民の憩いの場という感じ。ただし、堀の中には入れません。
  大阪の中心部に戻って、もう一杯。西九条駅に新しくオープンした「麺家」で、かき揚げそば。大阪では珍しい、本格的なかき揚げです。ただ、揚げ置きなのはしょうがないとして、だいぶ冷たかったのが残念。冷蔵庫に入れていたのかな、芯までしっかり冷えていました。個人的には、これだったら「乾燥巨大たぬき」の方がいいですね。
  鶴橋「鶴橋庵」で、一杯ひっかけます。ほろよいセット+巻き寿司。夜行バスに乗る前にこれを入れておくと、バスの中でよく眠れるのです。
  加えて、おんせんでダブルパンチ。西宮市内の「双葉温泉」で一風呂浴びます。関西、特に兵庫県内の六甲山麓エリアには、銭湯料金で入れる温泉がたくさんあります。設備も銭湯レベルではありますが、駅から歩けるようなところにも多々あるので、個人的には重宝しています。ビールと温泉で、バスの中で寝る準備も万端です(本当は逆の順番の方がよかったか)。
  神戸から、夜行バスで福岡(博多)にやって来ました。「トラベルマルシェバス市場」というブランドのバスを利用したのですが、近年の規制強化であわただしく整備したようなバスでした。三宮の、結婚式場(?)の2階に待合室があり、時間になると旗を持った誘導員が引率すること5分、バス乗り場へ。花時計前での乗車が法的にできなくなったという話だろうと思うのですが、個人的にはだいぶ不便になり、しかも怪しさ満点になった印象を受けます。ともあれ、どうやら無事に九州までやって来たようです。
  10月の旅だったのですが、貝塚公園にはこんなものが出ていました。
  香椎「ごはんや」で、まずは一杯。以前から気になっていた納豆そばをいただきます。納豆そばと完全に東日本限定というイメージがありますが、実は関西や九州にも、多くはないですがまったくないわけではありません。味覚的に、関西のつゆにも合います。若干納豆の香りが勝ってしまう印象はありますが。スーパーに寄っても納豆は多数揃っているし、意外と西日本でも受け入れられているように感じました。
  お次は、福間駅「東筑軒」のごぼう天そば。ゴボウたっぷりで、かしわ(鶏肉)入りです。甘めのつゆが特徴的で、安定した美味さが光ります。ごぼう天はやや衣が厚めですが、つゆを吸った衣もまた美味しいものです。
  九州には今日1日しか滞在時間がないので、どんどんいきます。黒崎駅「東筑軒」で、かしわそば。かけそばに相当するメニューですね。東筑軒は、折尾駅ホームの店舗が閉店してしまったので、現状では黒崎駅が唯一のホーム店舗になっています。しかも、露出店。風情があります。つゆ+トッピング(つまり、麺抜き)の「だしかけ」や酒類を扱っているので、立ち飲み屋感覚でも利用できます。
  九州最後の一杯は、門司駅「北九州駅弁当」のきつねそば。きつねそばなんですけどね、サービストッピングのかしわのボリューム感に押されて、どんなメニューだか分からない状態になっています。あと、今になって気づいたのですが、ネギが白ネギですね。これは大変興味深いことです。今後、門司・小倉あたりで集中的に食べて調査する必要がありそうです。
  鹿児島本線の終点・門司港駅にやって来ました。ここから、少し歩くことにします。というか、歩いて海を渡ります。
  門司港と言えばレトロな街並みが有名ですが、臨海エリアにはリゾート風情もあります。観光客も多いですね。で、これは何でしょうか。バナナマン? 顔ハメっぽくなっていますが、中に入ることはできません。単なるオブジェです。
  門司港観光レトロ列車の線路に沿って歩きます。残念なことに、この日は運行がありません。車両の写真も撮っておきたかったところでしたが。この路線は、門司港駅のすぐ脇にある九州鉄道記念館駅と関門海峡めかり駅を結ぶ、ほぼ観光客専用のトロッコ鉄道。全線歩き通しても1時間ほどという、短路線です。が、途中、ノーフォーク広場駅を出てすぐにトンネル(写真)があるため、ずっと線路に沿って歩くことはできません。
  仕方なく、海沿いを歩くことにします。バッチリと、関門橋が望めます。
  関門橋の真下をくぐります。
  ここが、門司港観光レトロ列車の終着駅・関門海峡めかり駅。もちろん、無人駅です。周辺には、だだっ広い公園と売店のような施設がある程度で、街は開けていません。
  少し戻って、関門人道トンネルに入ります。本州と九州を結ぶルートには関門橋と関門トンネルがありますが、いずれも歩行者や自転車は通行できません。その代わりに、この人道トンネルがあります。門司港駅から人道トンネルの入り口まではちょっと離れているので、門司港観光レトロ列車でアクセスすると便利かもしれません。ちなみに、車だと箸・トンネルとも有料ですが、人道トンネルは歩行者の通行は無料です(自転車・原付は20円)。
  エレベーターを降りると、立派なエレベーターホールに出ます。
  人道トンネル内部。あまり広くないですね。そして、かなり蒸し暑いです。
  一応、関門トンネルと同じく国道2号線として整備されているトンネルのようです。壁の向こう側からは車が走る音が聞こえてきます。
  トンネル内に、福岡・山口の県境があります。絶好の撮影ポイントですが、薄暗いのでピンボケや手ブレに注意を。
  こちら、下関側の出入口。市街地(下関駅周辺)からだいぶ東に寄ったところに出てきます。こちら側には鉄道でのアクセスがないので、ちょっと不便ですね。バス便はあります。
  下関駅へ向かって歩いていくと、なにやら立派な神社が右手に見えてきました。赤間神宮です。門の感じがなんとなく九州風というか中国風な出で立ちです。写真はありませんが、境内には「世界一のふくの像」があります。
  下関駅「味一」で、かやくそばをいただきます。安いメニュー(370円)なのですが、いろいろな具材が入っていて楽しい一杯です。これで、復活後にふく天そばとかやくそばを実食したことになりました。あとは、もずくそばを食べれば下関オールスターズ完全再食です。これも、早めに実食しておきたいと思います。
  2日連続で夜行バス泊になったので、今日はちゃんと足を伸ばして眠りたいところ。というわけで、今日のお宿は下関ステーションホテル。といっても、カプセルコーナーです。このホテル、基本的にはシティホテルなのですが、ワンフロアだけカプセルコーナーになっているのです。2900円で、しかも個室カプセルに泊まれるので、ありがたい存在です。「個室カプセル」という響きになじみがない方のために、写真を。こんな感じです。連結カプセルと、机・ロッカーがある専用スペースがあります。間仕切りはアコーディオンカーテンで、一応鍵がかかります。荷物を個室内に持ち込めるので、荷物が大きい場合には特に重宝します。
  ここからは、中国地方を巡る旅。山陰方面が基本ですが、山陽方面でも2杯食べておきましょうか。まずは、徳山駅の改札外にオープンした「駅一食堂とくやま」の天ぷらそば。毒々しい赤色の物体は、小海老です。というか、赤色102号ですかね(笑)。この駅には、地平改札時代には改札脇に「うどん杏」があったのですが、橋上駅舎化と同時に閉店・解体してこちらにオープンしました。山口県内の駅弁業者再編によって、運営業者が「小郡駅弁当」に変わっています。
  続いては、西広島駅「むさし」で元気そば。見てのとおり、野菜のあんかけそばです。あんかけそばは、冬場に期間限定で扱う店が各地にありますが、通年販売している店は少ないです。広島ローカルチェーンの「むさし」と、大阪中心の「麺家」くらいでしょうかね。やはり、つゆを大幅にいじるメニューは扱いづらいのでしょう。鍋がもうひとつ必要になるので。味の方は、コショウとにんにくが利いた中華テイストです。そばよりも中華麺の方がより合うかなという気もしますが、美味しいです。値段が高い(620円)のと、食べるのに時間がかかる(熱いので)のがややネックでしょうか。
  広島から、芸備線で内陸部へ。中国地方の内陸ローカル線は、まだまだ探訪が進んでいないエリア。本数が少ないので、なかなか気軽に途中下車という感じではないんですよね。「降りてみたけど何もなかった」時のダメージが大きい。18きっぷ等を持っている場合のひとつのテクニックとして、こういうエリアでは列車交換をうまく使うといいです。「進んで、戻って、また進む」というやり方。2時間待ちとかを解消できます。
  写真は、備後落合駅に置いてあった「到達証明書」。無料でいただけます。一応乗換駅ですが、本数が極端に少ないので、こういうものを用意するくらいに訪れにくい駅です。
  夜になると、車内もガラガラです。もちろん単行です。いつ廃止になってもおかしくない路線ですね。末永く存続してほしいですが。
  備中神代駅で伯備線の終列車に乗り換え、この日の行程は上石見駅まで。ここで、駅寝です。簡易委託駅で、待合室は終夜開放されています。綺麗なトイレがあるのがありがたいです。この駅には、軽食堂のような施設も併設されています。メニューが出ていなかったので詳細不明ですが、厨房には麺を茹でるような設備もありました。今後、再訪して調査したいと思います。
  今日は、山陰三昧です。まずは軽く、米子駅「米吾」でなめこそばからいきましょう。米子市は鳥取県ナンバー2の街ですが、米子駅には3路線が乗り入れていて、松江から比較的近いためか人の移動も多く、鳥取駅よりも活気がある印象です。駅弁売店を兼ねた「米吾」も、そばを食べる人は少ないですが、弁当を買う人などは結構多かったです。朝イチなのに。
  味の方は、西日本にしては濃い目のつゆが特徴的。焼き海苔を乗せるのが米吾流なのですが、個人的にはこれはなくてもいいかなと思います。視覚に訴えるなら、カマボコとかの方がいいと思います。海苔の香りが全体に伝播するので、先にサクッと食べてしまいます。
  続いて、松江駅「八雲路」の三色割子そばを。この店、普通にかけ系のそばも扱っているのですが、やっぱり出雲に来ると割子を食べたくなります。そば湯がついているのが嬉しいのですが、つゆが少なめです。ぶっかけスタイルなので、もり系よりは少し多めにつゆが欲しいところです。
  出雲市駅「黒崎」でも、三色割子をいただきます。これ、食べるの2回目ですね。仕事の関係があるので致し方ないのですが、できればメニューを変えたかったです。もうひとつの出雲名物・釜揚げそばがあるのでね。松江と出雲市で同じメニューを連食したわけですが、個人的には圧倒的にこちらの方が好みでした。そば自体の風味が豊かで美味しいのと、トッピングのチョイスがグッジョブです。つゆもたっぷり。かなりしょっぱいつゆなので、使い切れませんでした。つゆも残さないのが私の流儀ですが、もり系のつゆに関してはご容赦いただきましょう。
  駅弁も、ひとつくらいは。米子に戻って、「米吾」で海の宝箱という弁当を買ってみました。まぁ、ちらし寿司ですね。鯖寿司が1貫入っていたのがサプライズ。まぁ悪くありませんが、1260円という値段がちょっと。これ1つの代金で駅そばを3杯食べられたと思うと、ねぇ。ま、駅弁は1回の旅で1つくらいが適量でしょうかね。
  鳥取駅にやって来ました。ホームの「砂丘そば」で軽く……と思いきや、ガーン、KIOSK売店に変わっていました。これはショック!
  改札外の「砂丘そば」は健在だったので、たぬきそばをいただきました。うむ、変わらず美味しいです。ホームの店舗を閉鎖したぶんということでもないかもしれませんが、改札外の店舗は綺麗にリニューアルされ、客席がだいぶ増えていました。規模の小さな店舗を2つ持つより、1店舗に集約させた方が経営効率がいいのは当然です。ホームからどんどん駅そばが消えていくのは寂しい限りですが、生き残るための策はすべて尽くしてほしいという思いもあります。これからは、わざわざ改札外まで行きますので、今後も頑張ってください。
  城崎温泉駅で途中下車。駅寝旅をすると、どこかで入浴を確保しなければならないという手間が発生します。その点、城崎温泉駅に隣接して「さとの湯」があるのはとてもありがたいです。値段は高め(800円)ですが、休憩設備もあってのんびり過ごせます。が、実を言うと列車で寝過ごして一度豊岡まで行ってから戻ったため、閉館時間ぎりぎりになってしまいました。烏の行水です。お湯がいいだけに、ちょっともったいないことをしてしまいました。ちなみに、写真は駅前ロータリー内にある飲泉所です。
  いきなり妙ちくりんな写真を載せてしまいました。これは、梁瀬駅から国道9号線へ向かうときに通るトンネルです。今日は梁瀬駅で駅寝をすることにしたのですが、5分歩いて国道9号まで出るとコンビニがあることが分かったので、買い出しに行きます。台風が接近していて、5分歩いただけで全身ずぶ濡れ。買い出しも命がけです。
  ホーム上に間仕切りのできる待合室があったのが救いでした。台風接近とあって、この日だけは絶対に間仕切りのできる場所で寝る必要がありました。夜中に窓やサッシがガタガタ鳴って、空の遠いところではゴォゴォと不気味な唸りが轟いています。この建物が飛ばされたら一巻の終わり。頑強な建物ではないのでね、不安な一夜を過ごしました。
  翌朝も雨・風が強い状態が続き、ダイヤが大幅に乱れていました。どうにか西舞鶴までたどり着いたのですが、この時点ですでに小浜線の午前中全便運休が決まっていました。舞鶴線も、私を乗せてきた便を最後に運転見合わせ。西舞鶴から身動きがとれなくなってしまいました。唯一動いていたのが、KTR。18きっぷでは乗れない路線ですが、やむを得ません。宮津経由で福知山に戻ることに。ま、私の旅が荒天に祟られるのは恒例行事のようなものなので、対応も落ち着いたもんです。「あ、例のやつね」というくらいの感想。
  KTRも、ガラガラです。台風が来ることが分かっていたためでしょう。ほぼ貸切状態でした。
  宮津・福知山間の宮福線は、初乗車。宮津線以上に、ナチュラルレトロな車両で運行しています。宮津線と宮福線は同じ会社が運行しているのですが、どういうわけか一度改札を出て乗り換えるシステムになっています。集合改札にすることもできそうな駅の造りなんですけどね。
  時間のかかる小浜線探訪がボツになったことで、思いがけず時間が余ってしまいました。一度和田山まで西へ戻って、駅そばを探訪することにしましょう。この駅には、以前はホームに駅弁売店を兼ねた駅そばがあった(未食)のですが、当然のように閉店しています。今は、改札外、駅舎1階外側にある「和幸」という軽食堂というか喫茶店というか飲み屋というか、よくわからないスタイルの飲食店でそば・うどんを扱っています。駅弁も、2種類だけ販売があります。味は、どうってことないです。店内全体がタバコ臭かったのがちょっと残念なポイント。
  京都駅では、特に駅そばを食べるつもりはなかったのですが、山陰線から東海道線に乗り替える際に、たまたま途上にある「麺倶楽部」が「麺家さがの」に変わっていたのが目についたので、寄っていくことにしました。オリジナルメニューの「しっぽくそば」で旅を締めくくることにします。ゆば入りのかやくそば、といったところでしょうか。京都っぽい「雅」が感じられるメニューです。かつて跨線橋上の「麺串」で販売していた京風そばに近いイメージ。ただ、オペレーションをもう少し丁寧にしていただければと。湯葉は、出てきた時点ではしわくちゃでした。私が広げて写真をパチリ。見た目も大事なメニューなのでね。
  名古屋から、青春ドリームなごや号で帰ります。このバス、安くて空いていて快適なので、結構好きです。静岡・東京間の夜行バスよりも安いです。発時間が終電近くで、着時間が初電近くというダイヤ設定も私好み。電車が動いていない時間帯だけバスで動く。これが18キッパーの心をくすぐります。

戻ります。