倉庫114:比国只管街歩きツアー(その3)

  真夜中のホテル喫煙所にて。宵の口には煌々と明るい照明をともしていた飲食店が眠りにつき(1軒だけ明るいけど)、森閑とした雰囲気。部屋でタバコを吸えなかったことが、街の様子を24時間見られることにつながり、かえってラッキーでした。
  翌3日目は、ちょっと観光に出かけます。昨日までは高架鉄道3号線の沿線を中心にめぐりましたが、今日の舞台は1号線になります。宿から1号線が走る西へ向かって歩いていくと、1号線の前にフィリピン国鉄のブエンディア駅に到着。実際に歩いてみると、アヤラ駅よりもこちらの方が近いですね。宿の最寄り駅は、国鉄ブエンディア駅か、その隣のパサイロード駅になりそうです。宿から両駅まで、歩いて10分強くらい。
  それにしても、寂れているというかくたびれていますねぇ。
  高架鉄道1号線のヒル・プヤット駅に到着。国鉄沿線に比べて、かなり賑やかです。日本でも、私鉄の駅が街の中心部にあって、JRの駅はガラガラにさびれているということがよくあります(四日市とか久留米とか)が、それに近い印象を受けます。
  トライシクルもたくさん走っていました。
  マニラ随一の観光街・マビニ通りに出ました。でも、朝が早かったためでしょうか、意外と外国人観光客の姿は少なかったです。
  道端にこんなものが転がっているのが、ちょっとねぇ。観光街とはいえ、あまり衛生環境はよくないです。
  マビニ通りの北側終点が、大きな公園「リサール公園」になっています。機関車を模した、遊具的な乗り物も走っていました。外国人観光客が多いのかなと思っていたのですが、乗っていたのも、公園内を歩いていたのも、フィリピン人と思われる人が大半でした。
  かなり広い公園です。ベンチで座って休んでいたら、「来年娘が日本に行く」というおじさんに声をかけられました。自宅まで来て日本語を教えてほしいと言うのですが、さすがにそれは辞退。
  公園内には、日本庭園もあります。ほとんど誰も入っていない様子でした。
  リサール公園の北側には、スペイン統治時代の城塞都市跡「イントラムロス」があります。この辺りまで来て、ようやく外国人観光客の姿が目立つようになりました。いったいどこから湧いてきたのかと不思議に思うほど。タクシーで来るんでしょうかね。
  城門(上の写真)を潜ってすぐのところに、観光馬車乗り場があります。外国人観光客を見つけると、しつこく勧誘してきます。これはこれで楽しいかなと思うのですが、やっぱりファミリーかカップル向けですよね。ひとりで乗ってもなぁ、と。歩いた方が早いし。丁重にお断りをさせていただきました。
  イントラムロス内にある、世界遺産のサン・オウガスチン教会。イントラムロス内にある教会の中で唯一、第二次大戦の戦火を免れたのだそうです。第二次大戦でこの街を破壊し尽くしたのは、ほかでもない日本軍です。そう考えると、フィリピン人が全体的に親日傾向にあるのがちょっと不思議に感じます。もっと反日感情があってもよさそうなのに。それだけ、スペインの統治が厳しかったということでしょうか。
  こちらは、マニラ大聖堂。16世紀後半の建築ですが、先の大戦で破壊され、今の建物は戦後に建て直されたものです。
  マニラ大聖堂前は広場(「ローマ広場」と呼ばれている)になっていて、なにやら仮装大会みたいな行事が行われていました。仮装大会と言ってもあまり浮かれた感じではなく、厳粛なムード。キリスト教の行事なのでしょうね。
  イントラムロスの一番奥が、サンチアゴ要塞です。入場料100ペソを支払って、中に入ります。ここも、だいぶ戦火でやられていますね。かろうじて残っているこの建物も、壁を見ると弾痕が無数にあります。
  日本でいうところの本丸に続く城門。その外側は、堀になっています。日本の城と、造りが似ていますね。
  堀には、ハスの花がたくさん咲いていました。
  城門のアップ。外から見ると綺麗な形で残っているように見えますが、これも戦後に作り直されたものでしょう。
  裏から見ると、ガッツリ抉れています。これは、旧日本軍の戦車が無理やり通ろうとして壊れたものだそうです。
  あちこち老朽化していて、入れないところもたくさんありました。ちょっと残念。
  城壁の上に上がって、ぐるっと歩くことができます。ただ、景色はイマイチ。すぐ外に、ゴルフの打ちっ放し練習場があったりします。日本ではちょっと考えられない光景ですね。
  突端からは、パッシグ川を挟んでダウンタウンの街並みを眺めることができます。これまでに感じてきた埃臭さよりもさらに濃密な、むせ返るほどの埃っぽさを感じます。この川を隔てて南と北で、治安事情も大きく異なるそうです。
  守衛所のようなところで、記念撮影。ここは外国人観光客が結構いるところなので、シャッターを押してもらう人を探すのも苦労しません。フィリピン人をはじめとするアジア系の人は、カメラを持っていってしまいそうで怖いので、なるべく欧米系の観光客を選んで撮ってもらいました。
  砲台や大砲もあちこちにあります。要塞というくらいですから、軍事上たいへん重要な施設だったのでしょうね。パッシグ川のほぼ河口に近いところですので、海側から外敵がやって来るという想定でしょうか。また、ダウンタウンに住まわせていた外国人(主に中国人)を狙っていたという側面もあります。パッシグ川のすぐ向かいにチャイナタウンがあるのは、サンチアゴ要塞の大砲の射程範囲内という意味合いもあるんですね。スペイン軍に対して反乱を起こせばすぐにでも殲滅させられるように。
  ただ、砲身の中はゴミ箱と化していました。近くにごみ箱があるのに、こういう穴を見ると入れたくなるんでしょうかね。
  イントラムロスの北東側に出て、パッシグ川に沿って歩いていくと、船着き場がありました。「プラザメキシコ」と名付けられています。ここから、水上バスのような「パッシグリバーフェリー」が出ています。パッシグ川を伝ってマニラを横断し、バイ湖畔のピナグブハタンまで行けます。マニラ近郊の公共交通は南北に走るものが多く、東西の移動手段がやや貧弱です(高架鉄道2号線だけ)。そういう意味では、貴重な交通手段。旅人にとっても、有用かもしれません。初乗りは15ペソ。意外と安いです。ガダルペまで50ペソで行けるので、高架鉄道を乗り継ぐのと同じような感覚で利用できます。1回乗っておくべきだったかもしれません。乗らなかったことを、ちょっと後悔しています。
  パッシグ川を渡るジョンズ橋が見えてきました。事前にフィリピンに詳しい人に聞いた話では、「この橋の北側はダウンタウンで治安が悪いので、歩いてこの橋を渡るのはやめた方がいいよ」とのことだったのですが……。
  歩いて渡りました。渡った先はチャイナタウンになっていて、中国風のゲートを潜ります。橋を渡ると、とたんに路上生活者を多く見かけるようになりました。しかも、それが結構顔立ちの整った若い女性だったりします。子供がいて、裸足で走り回っているそばで、段ボールを敷いて裸足で横になっています。なるほど、治安が良くないというのがなんとなく実感できます。
  ダウンタウンは道路が狭く、人も車も多いです。広角レンズを持っていないと、まともな風景写真が撮れません。この写真はビノンド教会ですが、道路の反対側から撮っても画角に収まりませんでした。
  電線が蜘蛛の巣のようにたくさん走っているのも、ダウンタウンらしい部分ですね。
  レイナ・レジェンテ通りで汚ったないドブ川を渡ったところに、ラッキー・チャイナタウンモールがあります。その中に「富士そば ラッキー・チャイナタウンモール店」があるので、寄ってみましょう。建物の外はいかにもダウンタウンといった危なっかしい街並みですが、建物に入ればほかの地域のショッピングモールと同じように綺麗で洗練されています。ホッと一安心。チャイナタウンだけあって、ショッピングモール内にも中国風の人形が飾られていました。
  ここでは、えび天丼(230ペソ)を食べてみました。これはずいぶん割安に感じますね。フィリピン産の米を使えるから、原価を安くできるということでしょうか。そばよりもご飯ものの方がお得に感じます。なにしろ、かき揚げそば(260ペソ)よりも安いのですから。
  ただし、ご飯は乾燥肌です。さらに今回食べたものに関して言うと、水っぽくてベチャベチャしていました。水っぽいのに、乾燥肌。モチモチ感がないんですね。ちょっと残念でした。
  でも、結構大きなエビ天を3本使ってこの値段で出せるのはすごいと思います。エビもフィリピン産なんでしょうね。
  続いて、日本ではまず出せないドリンクメニュー「フレッシュ・ダランダン・ジュース」(80ペソ)を。ダランダンとは、すだちのような青い柑橘系果物。ちょっと大味というか、酸味も甘みも弱いので、果汁100%(濃縮還元ではない手搾りだそうです)でもぐいぐい飲めます。果物として食べるとモヤッとしてイマイチに感じるかもしれませんが、ジュースならば美味しく飲めます。ブコジュースほどのインパクトはありませんが、手搾りの手間もあることだし、良しとしましょう。
  ラッキー・チャイナタウンモールからさらに北へ。この先に、フィリピン国鉄のトゥトゥバン駅(旧・マニラ駅)があります。ここまで来たら、高架鉄道だけでなく国鉄にも乗ってみたいですね。というわけで、トタンで建てたようなあばら家が並ぶ危なっかしい路地を歩いて、駅へ。
  「その3」は、ここまで。国鉄乗車レポートと最終日は、「その4」のお楽しみです。

戻ります。