倉庫114:比国只管街歩きツアー(その1)

  1994年以来、22年ぶりの海外です。そして、初めてのひとり海外。いやぁ、緊張しますね。行き先は、フィリピン。1か月ほど前にパスポートを取得して、「地球の歩き方」を買って、ネットでもいろいろ調べて、そんなことをやっている間にどんどん緊張が高まって、最高潮な状態での出発。準備に抜かりはないはず……と思っていたのに、空港に向かう電車が地震の影響で20分ほどストップ。どんなに準備をしっかりしていても、不測の事態は必ず起こるものです。
  海外旅行の第一関門は、これ。機内で配られる入国書類です。22年前のエジプト旅行でどうだったかよく覚えていませんが、フィリピンの場合は3種の書類に記入し、提出しなければなりません。左から、入国カード、ヘルスチェックカード、そして税関申告書。いずれも書式が決まっているので、記入例が手元にあればまったく問題ないのですが、うっかりペンを預け荷物のほうに入れてしまったとか、記入例が記載されている旅行ガイドを上の棚に上げてしまったとか、そういうことであたふたしなくて済むように注意しましょう。旅行ガイドとペンは手元に。これが鉄則です。
  今回は直前までスケジュールが決まらなかった関係で、LCCは使えませんでした。フィリピン航空で行きます。なので、機内食が出ます。こういう機内食は、久々ですねぇ。それこそ、22年ぶりかも。童心に帰って、ワクワクしてしまいます。
  ただ、これがよく分からない。このメニュー構成で空のカップが付いてきて、何に使えというのか。後からスープが配られるわけでもなく、結局使わずじまいでした。
  どうやら、マニラ上空にさしかかったようです。いやぁ、なかなかの大都会ですね。1億ある人口の多くが集中している街ですから、当たり前と言えば当たり前ですが。見渡す限り、ぎっしりと建物がひしめき合っています。ちなみに、日本との時差は1時間。このくらいなら、時差ボケの心配はありません。
  ニノイアキノ国際空港第2ターミナルビルを出ると、いきなりタクシーの勧誘に取り囲まれました。ちょっと面喰らって、いったん空港ビル内に戻ろうとするもセキュリティに「No Entry」と阻まれ、ひとまず喫煙所に避難して作戦を練ります。すると、数人のフィリピン人がやって来て、私に向かって右手を差し出し、人差し指をクイクイと動かして招くような動作。えっ! こんな公衆の面前で「金出せ」攻撃? と身構えたのですが、彼らが欲しいのはお金ではなく火でした。フィリピンには、ライターやマッチなどを持ち歩かない愛煙家が多いのです。
  結局、最初だけ送りバント。あまりよくない噂を聞いていたメータータクシーや交渉制のタクシーはやめて、クーポンタクシーを利用しました。かなり高いので、バスか徒歩にすればよかったと後悔しています。予想をはるかに上回るタクシー勧誘にちょっとチキってしまったのが敗因ですね。クーポンタクシーだと、空港からパサイ市街(空港最寄りの、鉄道の駅がある街)まで330ペソ(1ペソ≒2.5円)。メータータクシーや交渉制タクシーだと100ペソくらいで行けるそうですが、ぼったぐりに遭うと500ペソ以上の請求になるとか。路線バスだと20ペソで行けます(ただし、バスは第3ターミナルから出るので、ターミナル間バスに別途20ペソが必要になる)。ジプニー(後述)だと8ペソですが、これは初心者には難易度が高いです。徒歩の場合、私が到着した第2ターミナルからだと1時間弱くらい。ターミナル間バスで第4ターミナルへ移動すれば、徒歩20分ほどで街に出られます。
  クーポンタクシーでやって来たのは、パサイ市西部のマニラ湾岸にあるアジア最大級のショッピングモール「SMモール・オブ・アジア」。アジア最大級と言っても所詮はショッピングモールだろと高をくくっていましたが、いやぁ、これはすごいです。ショッピングモールというより、もはやテーマパークのようでした。緑が多くていいですね。リゾート気分を味わえます。
  フィリピンの信号は、たいていこのように残時間が表示されます。日本だと目盛りが減っていくパターンが多いですが、秒数表示の方が親切と言えば親切ですね。ただ、信号はあまり守られていません。人も車も、平気で信号無視しています。警察官が交通誘導に当たっている交差点でも、赤なのに警察官が率先して「行け行け」と促す場合があります。車が飽和状態にあって交通渋滞が慢性化しているためでしょう。
  ちなみに、フィリピンは右側通行です。日本の感覚で信号無視して道路を渡ろうとすると、予期せぬところから車がニュッと出てきてひやっとすることがあります。慣れるまでは、信号の青・赤にかかわらず、道路を渡るときにはフィリピン人の後を追って歩くのが無難です。
  こんなものまでありました。屋内で観覧車に乗って、楽しいのかな。
  SMモール・オブ・アジアに来た目的は、これ。モール内に、「富士そばSMモール・オブ・アジア店」があるのです。現在フィリピンに6店舗をフランチャイズ展開している、富士そば。その4号店になります。
  店内には、わけのわからない「和風シャンデリア」のような懸垂物(写真)がぶら下がっていて、異様な雰囲気です。これが日本のイメージなのでしょうか。日本ではこんなもの、見たことがないのですが。
  いただいたのは、日本の富士そばにはないメニュー・キス天もりそば。230ペソなので、かなりお高いです。物価が安いフィリピンでは、ごく一部の富裕層にしか手が届かない高級品です。
  味は、日本で食べる富士そばと大差ありません。意外と言っては失礼ですが、美味しかったです。もっとアクの強いそばを想像していたので、ちょっと拍子抜けしました。あまりにもクセがなさ過ぎて、記事ネタとして大丈夫かなと、妙な心配をしたほどでした。
  こちらも信号機。青信号に青矢印。まったく意味が分かりません。
  街なかには、ジプニーと呼ばれるボンネットトラックの乗り合いタクシーがたくさん走っています。いずれも行き先が決まっていて、運賃はたいてい8ペソ。庶民の足として重宝されています。ただ、旅行者が乗るにはちょっと難易度が高いです。行先系統が複雑だし、乗降車時にも完全には止まってくれないし、車内でのスリや強盗も多いと聞きます。ネックレスなどは、ひきちぎられるとか。一度乗ってみたいと思っていたのですが、電車と徒歩ですべて用が足りてしまったので、今回は乗りませんでした。
  高架鉄道のエドゥサ駅前。雑然としていて、埃臭い街。マニラ市内及び近郊は、たいていこんな感じですね。大気汚染は、ちょっと深刻です。フィリピン人のなかにも、日常的にマスクを着用している人が多い様子でした。
  高架鉄道1号線。駅構内は基本的に撮影できない(セキュリティが常時目を光らせていて、カメラを構えると飛んできます)ので、歩道橋上から。6両くらい連なっていて、スピードは遅め。「ゆりかもめ」みたいなイメージです。自動改札が導入されていて、運賃は15〜30ペソくらい。ジプニーよりは高いですが、日本人の感覚で考えればとても安いです。車内はエアコンも利いていて快適。スリが多いとの情報がありましたが、今回利用してみた限りでは、そんなにヤバい雰囲気ではありませんでした。ただし、混雑は激しいです。どこから乗っても、最初はまず座れません。
  エドゥサ駅の階段。この駅に限らず、フィリピンの階段はどこもとても急で、ステップが狭いです。歩きづらくてしょうがない。
  高架鉄道脇のガード下には、青空市のようになっているところが多くあります。人が多く、ショッピングモールとはまた違った活気があります。とくに何を買うわけでもないのですが、歩くだけでも楽しいですね。売り物としては、携帯(スマホ)関連の小道具(ケースなど)を扱う店がとても多い印象でした。世相を反映していますね。
  こちらは、ジプニーよりも小回りが利くトライシクル。バイクをサイドカー風に改造した簡易タクシーです。乗り合いではないので、好きなところに行けるのが強みですが、ジプニーよりはだいぶ高いし、スピードも遅いです。バイクではなく、自転車を改造したトライシクルも多く見かけます。個人的には、フィリピンで交通渋滞がとても激しいのは、ジプニーとトライシクルが原因ではないかと思っています。しょっちゅう止まるし、スピードも遅いので。
  エドゥサ通りを渡る歩道橋は、こんな形になっているものが多いです。中央部分が盛り上がっているのは、その下を高架鉄道が走るため。高架と言いながら、この辺りでは地平を走っているんですね。
  こちらは、フィリピン国鉄のエドゥサ駅。高架鉄道に比べて、まぁ寂れていること。ローカル線みたいな雰囲気です。線路上を、平気で人が歩いています。中には、自前のトロッコ(屋台のような店舗になっている)を勝手に走らせている人も。でも、利用者は意外に多いです。運賃も、高架鉄道よりさらに安いです。
  道路の案内標識、日本でいうところの「青看」です。距離がとても細かく記載されています。かえって見づらいような気もしますが……。
  高架鉄道3号線のアヤラ駅。3号線の駅としては、ここが一番大きいでしょうか(乗降していない駅もいくつかあるので、はっきりとは言えないが)。乗降客もとても多い駅です。これだけ大きな駅舎があるのは珍しいですね。ほかの駅は、日本に例えると多摩都市モノレールみたいな簡素な駅が多いので。ショッピングモールに直結しています。
  アヤラ駅からパサイロードを西に歩いていくと、日本語表記の看板が多く見られるようになります。
  その先には、「リトル東京」と名付けられた飲食店街がありました。でもね、なんか違うんですよねぇ。これは微妙に日本風ではないような気がします。あまり親しみを感じる場所ではありませんでした。
  今回お世話になる宿は、こちら。リトル東京から徒歩3分ほどのところにある、「クリークサイド・マカティ・ホテル」です。雑居ビルの一部を使った形のホテルで、2階にフロントがあり、3階が客室になっています。一応、階段にセキュリティが常駐していますが、宿泊者でなくても各部屋の前まで入れてしまう、ちょっと不用心な宿です。私にあてがわれた部屋のドアがちょっとがたついていたので、なおのこと不安でした。まぁ、安いところを選んだのだから仕方ないんですけどね。
  ベッドはダブルサイズで文句なし。ナイトテーブルのほかに、書き物机もありました。広さは、10畳くらいでしょうか。ひとりで泊まるには十分すぎるほど広いです。
  トイレとシャワーがコンパートメントになっていて、バスタブはありません。シャワーは水圧が弱く、備え付けのシャンプー・ボディソープともかぴかぴに乾いていました。バスタオルは用意されています。
  日本で宿を予約したときに事前クレジット決済してあったのですが、チェックイン時にデポジットで1000ペソ取られます(チェックアウト時に返ってくる)。まぁ、大阪・西成の安宿でデポジットに慣れている私にとっては、どうということもありません。慣れていない方は、とりあえず「デポジット」という単語を覚えておくといいでしょう。
  ホテルの喫煙所からの眺め。雑居ビルの階下には、飲食店などが入っています。煌々と明るいのですが、それほど賑わっている感じではありません。日本語表記の飲食店もありました。リトル東京に近く、日本語看板の店が多く、和食店もあるエリア。それなのに、宿泊客の中に日本人らしき人がいなかった(たまたま見かけなかっただけかもしれないが)のが少し意外に感じました。日本人は、もうちょっとグレードの高いホテルに泊まるんでしょうかね。
  夕食というか、夜食を買出しに、近くのセブンイレブンへ。マニラには、コンビニは腐るほどあります。日本とそう変わらないくらい。わざわざ探さなくても、市街地を歩いていればじきに見つかります。多いのは、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップの順でしょうか。サークルKも見かけましたね。
  買ってきた商品が、こちら。なにしろ辛いのは、飲料水を買わなければならないことですね。水道水が飲める国に住んでいる人間にとって、これはとんだ徒労に思えてしまいます。
  ちなみに、コンビニの売価は、日本円換算するとわりと安く感じますが、物価を考慮すると決して安くはありません。日本でも海外でも、コンビニは高いものなんですね。
  こちら、ハンバーグ弁当(のようなもの)。デミグラスソースがかかったミートパテ2枚と、貧弱なきのこのソテー、そしてライスがセットになっています。日本のコンビニと同じように、レンジで温めてくれます。味は、まぁまぁ。ライスがちょっと乾燥肌でパサパサしていますが、ハンバーグもどきは悪くなかったです。ただ、彩りがちょっと寂しいですよね。ブロッコリーかインゲンかニンジンか、温野菜がちょっと添えられていると華があっていいと思うのですが。
  こちらは、トーストサンド。今回の旅の中で、コンビニで買った商品の中では一番のヒットでした。コンビニのレジ脇にある上下でサンドするタイプのホットプレートで温めるというか焼いてくれます。中には、スパムみたいなソーセージととろけるチーズが入っています。これは文句なく美味かったですね。日本でも売ってほしいくらいです。
  コンビニで買い物をするときに注意したいのが、これ。レジ袋が、ビニールではなく紙なんですね。これに重たい飲料水などを入れるので、抱えるようにして持ち歩かないと底が抜けます。雨なんか降った日には、5秒で抜けます。手に提げて持ち歩きたいのであれば、日本から大きめのレジ袋を持って行っておくと、なにかと重宝します。
  今日はSMモール・オブ・アジアからホテルまで、ずっと歩き通し。まだフィリピンの暑さに慣れていないためか、ちょっと疲れました。夜が更けたところで、さっさと床に就きます。「その1」は、ここまで。まだまだ波乱が起こる2日目以降の行程は、「その2」「その3」「その4」に続きます。

戻ります。